アイロンがけのように筋膜を伸ばすワケ

筋膜ゆるめリストの黒野 洋史です。

筋膜には可塑性(かそせい)という特徴もあります。

可塑性というのは、低反発マクラなどでギュッと手で押したあと、手を放しても元に戻りにくい状態のことです。
みなさんもやったことがあると思います。あれって気持ちいいですよねぇ。
ついつい手形を作りまくってしまいます。

筋膜のコラーゲン線維に対して
深いタッチで、特定の方向ベクトルに圧を加えます。
このとき反動をつけたり、急に行ってはいけません。
あくまでもゆっくり、静かに深いタッチで一定方向に行います。

そうすると線維間のタンパク質が溶けます。
溶けるといってもアイスのように溶けるわけではありません。
基質のところでもお話しましたが、ゲル状(ゼラチン様)になっているタンパク質である基質が溶けてゾル化(液状化)します。
このことによりコラーゲン線維が移動しやすくなります。

スポンジの中にゼラチン状のものが詰まって硬くなっている状態のときに、ゆっくり絞るようなことを行い、元に戻すと隙間があき、流動性のある基質が入り込みます。それにより動きがよくなるようなものです。

滑りの良くなったコラーゲン線維がお互いの上をスライドしていきます。
そして組織を持続的に伸ばす塑性変形が作り出されます。
この時速く伸ばしてしまうと筋膜は裂けて結合組織の損傷が起こってしまいます。

ストレッチなどでゆっくり持続してのばすと筋が伸びていくのと同様なことですね。
さすがにストレッチを素早くする人はいないでしょう。